当店で扱うルドゥーテ原本は、どこが違うのか
きわめて価値の高いものを扱っております。
では、どういう点が違うのか、どういう点で価値が高いとされるのか。
それを、このページではわかりやすく解説していこうと思います。
|
<<--こちら左側が、トップページにあります、ルドゥーテ「バラ図譜」オクタヴォ判・原本作品のアイコンです。
ここにも書いてあります、「価値の高い初版」というもの。 これが、ポイントです。
以下より、「バラ図譜」がどのように作られたのか、ものによってどのような違いがあるのか、具体的に見ていきたいと思います。
|
・ルドゥーテ 「バラ図譜」 オクタヴォ判
|
価値の高い初版で、ためいき ものの美しさ。額装選べます。
|
ルドゥーテ「バラ図譜」の作られた過程
「バラ図譜」オクタヴォ判は、1824年にフランスにて制作されたものです。
その「バラ図譜」が作られ流通した経緯を、簡単な図にまとめました。
ふつうの芸術作品である油絵などとは違い、図鑑としての目的で作られる植物画は、いわば「印刷物」として作られます。原画をもとに、銅版をおこし、版画のかたちで刷って流通させるわけです。
なお、下図の(ウ)(エ)(オ)が、"original"、「オリジナルプリント」、「アンティークプリント」と一般に言われるものです。当店では「複製画」と区別して「原本」と呼んでいます。複製画とは、これら原本を何らかの方法で複製したものです。
では、その成り立ちを、順を追って見ていきましょう。
- (ア)原画
- まず、ルドゥーテ自身が原画を描きます。
これは、犢皮紙(とくひし)という、子牛の皮でできたものに描いたものです(ちなみに、この貴重な原画は、ルーブルの図書室に保管してあったのですが、1871年のパリ・コミューンの際に火災で焼失、現存しません)。
- (イ)銅版
- 次に、この原画をもとに(イ)銅版
を作ります。ルドゥーテはこの銅版で独自の技法を開発しました。線ではなく、点によって、多色刷りによって、原画を表現し、製版したのです。この技法により、花の絵から黒い輪郭線が取り払われ、あの美しいバラが表現できるようになったのです。
- (ウ)初版
(1824-26年)
- そしてその銅版から刷った最初の版画が、(ウ)初版です。これは、美術史上たいへん評価されるもので、(イ)で述べたルドゥーテ独自の「点」による描画、美しく丁寧な仕上がりの彩色、ルドゥーテ画の美しさをあますところなく表現しているものです。
- (エ)第二版(1828-29年)、(オ)第三版(1835年)
- しかしこれが、(エ)(オ)の二版・三版となりますと、状況が変わってきます。
簡単にいうと、手を抜いてくるのです。
初版の際、神業のようなきめこまかさで、美しい色彩で描かれたバラが一転、黒一色で刷ったうえに大雑把に色が塗られた感じになってきます。そういったものが多くあります。
ただ、バラ一つ一つに対する植物学上の分類は、初版時に見つかった誤りが正され、科学的な意味での正確性は向上しています。
「バラ図譜」初版と後刷りとの比較
以下、実際の現物で比較してみます。
両者まったく同じ図柄のものはあいにく手元にありませんので、似た構図のもので比較していきます。
比較 1. 全体像
初版
|
後刷り(二版または三版)
|
|
|
色彩に透明感があり、美しい
|
全体が黒っぽく、輪郭が目立ち、 上品さが失われている
|
比較 2. 花びらのようす
初版
|
後刷り(二版または三版)
|
|
|
アップになっても、花の色に「黒」を 感じることがない
|
輪郭の黒と、花びらのピンクの色が混じり、 黒ずんでしまっている (両者、花の大きさが 違うだけで縮尺は同じです)
|
比較 3. つぼみのようす
初版
|
後刷り(二版または三版)
|
|
|
つぼみの先端までも、輪郭がないゆえ、 消えゆくように伸びやかに、繊細に 描かれている。
|
こういった細かい部分は特に、黒い輪郭が 目立ち、繊細さが失われている(両者、花の 大きさが違うだけで縮尺は同じです)
|
比較 4. 葉のようす
初版
|
後刷り(二版または三版)
|
|
|
びっしりとした細かい点描によって、葉が一枚一枚 しっとりと描かれている。
|
大ざっぱに色が塗られている感じがする。 特に葉のギザギザは、塗り残しのアラが目立つ。 (両者、花の大きさが違うだけで縮尺は同じです)
|
当店で扱っているのは、初版だけです
このように、同じルドゥーテの「バラ図譜」、本物のオリジナルプリントであっても、版によって質が大きく違います。当然、市場での評価も大きく異なり、価格には数倍の開きがあります。
そういった事情から、初版はなかなか流通しておらず、貴重なものです。
当店の「バラ図譜」オクタヴォ判は、すべて初版のものです。さらに、保存状態の良い美しいものばかりです。
せっかくなら、ルドゥーテの真価を味わえる最高のものを手に入れたいですよね。
お客さまにとっては、一生ものにふさわしい、素晴らしいコレクションとなるのではないでしょうか。
- 以上、参考文献:
- 「世界版画史」青木茂 監修 美術出版社
2001年
「バラの画家 ルドゥテ」シャルル・レジェ著、高橋達明訳 八坂書房 2005年
- 「植物学と植物画」大場秀章
著 八坂書房 2003年
ルドゥーテ「バラ図譜」商品一覧へ
額絵ページトップへ